ミクロネシアの数学教育

2018年度1次隊シニア海外ボランティアとして、ミクロネシア連邦で数学教育に携わります。

終業式

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表彰式

 去年の8月に、日本の年中さんに相当するK4という学年に娘は入学しました。しかし言葉の壁に苦しみ、9月中旬には「もう二度と学校には行かない」と宣言し、ほぼ1カ月学校を休みました。その後、少しずつ学校に通うことができるようになったものの、学校は休みがちで、どうなるものか少し心配でしたが、いつの間にか学校が大好きになり、今では走って教室に向かっていくようになりました。

 

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表彰状をもらって

 今日は娘の通っている学校の終業式でした。この学校の終業式では、今年度様々な分野で頑張った子供たちの表彰式がありました。英語や聖書などの学習だけでなく、無遅刻無欠席はもちろん、周りの友達にやさしくできた子、成長率が一番大きかった子など、様々な個性を持った子供たちが表彰を受けていました。娘も成績優秀者として表彰を受け、とてもうれしそうな顔をしていました。しかし、この国の数学教育に携わる者として少し残念だったことは、なぜか算数・数学の表彰がなかったことです。そして最も驚いたことは、各クラスで協力的だった保護者の分野で、私たち夫婦が表彰を受けたことです。皆さんからたくさんの拍手を頂きとてもうれしく思いました。

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 表彰式の後は、各クラスでパーティーがありました。私の担当は鶏肉料理だったので、今日は朝早く起きて大量の鶏肉の煮物を作って持っていきました。今年度、共に学んできたお友達と楽しく食事をしている姿が見ることができ、とてもよかったです。

 明日からは3カ月の長い夏休みが始まります。日本ではできない経験をたくさんしてもらいたいと思います。

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保護者が持ち寄った食事

 

教育局主催のワークショップ

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参加証明書を手に記念撮影

 効率的で効果的な授業をするためにはどのようにすべきか?教員にとっては常に追い求めるべきであろうこの問題に立ち向かうために、教育局主催のワークショップに参加しました。

 

今週の水曜日から金曜日まで、ポンペイ州教育局の会議室に指導的立場にある教員として校長、副校長、指導主事が集まったワークショップに私も一緒に参加させていただきました。講師は世界7ヵ国で教員研修を実施しているナタリーパーム博士をお迎えして、以下の6つの方法について指導していただきました。

 

1、授業の目的の立て方
2、明確な内容の伝え方
3、時間を最大限に有効活用するには
4、すべての生徒を参加させるためには
5、学習成果の測定方法
6、前向きな言葉の選び方

 

 私の第一印象としては、「特に目新しい内容でもなく、すべてこれまで何となくは意識はしていたものだなあ」ぐらいにしか感じませんでした。しかし、いざワークショップが始まると私の第一印象は誤りだったことに気づきました。

 

 一つの項目につき3時間の時間をかけて、受講者同士で意見を交わし、文章や図でまとめて結果発表することで、これまで自分がいかにいい加減な理解をしていたかということを、明確に認識することができました。3日間、18時間にわたり意見を交わすことは非常に体力を消耗しましたが、とても有意義な3日間となりました。

 

 最後に博士から各受講者に参加証明書を手渡していただきましたが、皆さんとても晴れやかな表情になっていました。

お誕生会

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休み時間のようす

 娘が通っている学校は、日本でいうところの年中さんから高校3年生までの生徒が通っており、また、国籍もミクロネシアに限らず様々な国の生徒が学んでいて、年齢、人種、国籍等、非常性に多様性の高い学校です。

 

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お友達からプレゼントをもらう

 ミクロネシアでは誕生日がとても重要なイベントで、先日同僚の子供の誕生会に招待してもらいましたが、その招待客の数やごちそうの量など、その規模の大きさに驚きました。

 

 もうすぐ誕生日を迎える娘のために、クラスでお誕生会をしてもらえることになったのはよいのですが、「子供の誕生日にはクラスメートたちに大量のごちそうをふるまうらしい」とのうわさを聞いて以来、そのような料理はどうやって準備すればいいのか困惑していました。ちょうど先週、保護者懇談会があったので、担任の先生に正直にどうすればいいか聞いたところ、クラスメートにちょっとしたお菓子を持ってきてくれれば十分だと教えていただきました。

 

 しかし、ミクロネシアではなんでもシェアする文化で、料理をふるまうときは食べきれない量を準備することが習慣となっているこの国で、お菓子だけをあげておしまいにすることはできないので、妻がクラスメート分のカップケーキを作ることにしました。焼きあがったカップケーキに、シリアル、生クリーム、チョコレートをトッピングし何とかそれらしく仕上げてみました。

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カップケーキを食べながらおしゃべり

 文化や言葉の壁に戸惑い、登園を渋るときもありましたが、お友達と仲良く遊んでいる様子を見ることができ、少し安心しました。

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現金のプレゼントももらいました

 

東京オリンピック

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東京オリンピック ミクロネシア代表

 職場の同僚の妹さんが、東京オリンピック陸上女子100mミクロネシア代表に決定したお祝いに誘っていただきました。ミクロネシアのお祝い事では、必ず豚の丸焼きを伝統的な方法で調理し、参加者に振舞います。これまでに職場で何度もその伝統的な調理方法を見てみたいと話していたせいもあってか、家族でその貴重な場に参加することができました。

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命をいただく

 さっきまで元気に動き回っていた豚が、あっという間に調理場に運ばれていく様子は、日本ではなかなか見ることができない貴重な経験だと感じました。ポンペイ島によく見られる、非常に密度の大きい火成岩をヤシの実の殻で1時間ほど焼き、その岩の上にパンの実と豚を乗せ、さらにその上に何重ものバナナの葉を重ねていきます。

 

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 焼きあがるまでには1時間以上かかるとのことなので、それまで子供たちはかけっこをしたり海で泳いだり自由に過ごします。

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 海で泳いでいる時も、ミクロネシアの人々は私たちにヤシの実のジュースを差し入れてくれるなど、気を使っていただき本当にありがたかったです。

 

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出来上がった料理を食べる人々

 蒸し上がった豚は、非常に柔らかくておいしくて本当に驚きました。その美味しさから、お祝いの席で食べる特別な料理であることに納得できました。

 また、最後にポンペイ島の伝統的な飲み物であるサカオの制作を見学することができました。サカオはコショウ科の植物の根を細かく刻み、その絞り汁からできています。鎮静作用があり、ポンペイの人々は好んでよく飲んでいます。このお宅では電動ミキサーを使って大量にサカオを製造し、町の中心部で販売しているそうで、その貴重な製造過程をすべて見学することができました。試飲させていただくと、唇や舌が痺れ、アルコールとは少し異なる不思議な感覚でした。

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サカオ製造


 単純に時間だけ見ると朝早くから夕方まで長時間にわたりましたが、それを感じさせない非常に貴重で有意義な1日を過ごすことができました。オリンピックに参加することが決まった妹さんとは、必ずまた東京で会おうと約束しました。東京オリンピックでの彼女の活躍を期待したいです。

学校見学

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見学させていただいた学校



 ミクロネシアに来て初めて通常授業の見学をすることができました。教育局から車で1時間ほどの距離にあるこの学校は、1年生から8年生までで約250名の児童・生徒が在籍してします。休み時間になると子供たちが元気いっぱいに校庭を走り回る姿などは日本と変わらない光景だと思いますが、授業中のようすは日本とは異なる点が多々あり大変勉強になりました。

 

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授業風景(休み時間ではありません)

 この写真から見て取れるように、机やイスのあるなし、ノートや教科書のあるなし、制服のあるなし等、日本では決してみられない光景がたくさんあります。しかしそのことを理由にして、いじめたりするようなことは決してなく、あるものをみんなで共有しながら仲良く笑顔で学ぶ姿がとても印象的でした。もちろん、すべての児童・生徒に十分な数の机や教材があればそれに越したことはありませんが、物が無いことを悲観するのではなく、現状を受け止め、それぞれの違いを認め合い、あるものを工夫して利用する姿勢は、我々が見習うべきものだと感じました。

 

「机がなければ、床で寝転んで勉強すればいいじゃん」

 

 写真の男の子が自らその態度で、多様性を認め合うことで解決可能な問題の存在を私に示してくれました。

 

 

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 算数の授業をメインに見学しましたが、子供たちのノートも個性豊かなものがたくさんあり、ただ単純に日本式のノート指導をそのまま持ち込んでしまったら、彼らの豊かな表現力を押しつぶしてしまいそうだと感じました。

 

 この国の子供たちにとって、どのような指導が適しているのか、これから他の学校をさらに見学していく中で、その方法を模索していきたいと思います。

 

日本からミクロネシアへの荷物

 8月22日にようやく日本からの船便で送った荷物が、ほぼすべてミクロネシアに到着しました。6月9日から6月24日にかけて送ったので、到着まで約2か月かかったことになります。海外に荷物を送ったのは18年ぶりだったこともあり、感覚が少しずれてしまっていることもありましたが、少し気づいたことを書き留めておきたいと思います。

 

 

 やっておけばよかったと思うこと

 荷物を船便で送ってみて、その安さに驚きました。段ボール箱で軽いものであれば日本円で3000円ほどで送ることができました。その安さをいいことに家族3人分の荷物をすべて船便で送ってしまいましたが、これが今回の失敗の大きな要因でした。送った後に気づいたことですが、荷物にはミクロネシアについてからすぐに使うものとそうでないものがあります。今回はこの区別を一切せずに、安さをいいことにすべて船便で送ってしまいました。

 ミクロネシアについてからすぐに、その暑さと湿度とストレスが要因と思われる皮膚の疾患に娘は悩まされましたが、日ごろ使いなれている薬を私は船便の荷物の中に入れてしまいました。ミクロネシアでは手に入らないものなので、私は日本にいる姉にすぐに連絡を取り、航空便で送ってもらうようにお願いしました。それ以外にも、仕事で必要な専門書や子供のおもちゃなど、途上国では入手困難でかつ、到着後すぐに使うものはしっかり計画を立てて区別して、多少金額が高くても航空便で送るべきでした。日本から送った荷物の中でまだ到着していないものは、娘の絵本等を詰めた段ボール箱一つだけとなりました。娘の大切な宝物なので、1日も早く届くことを祈るばかりです。

 

 

 やっておいてよかったこと

 今回は送った荷物の数が16個ととても多かったので、到着したか確認するために郵便局で手続きをした時の控えを全てミクロネシアに持ってきました。この控えを見れば何時、何を送ったか確認できるので、その点ではとてもよかったと思います。到着していない荷物は何か、一目で確認出来て助かりました。 

 

 海外生活に慣れた方であれば、常識のようなことかもしれませんが、今回の反省を今後に生かしたいと思います。

歓迎会

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バーベキュー

 8月17日に職場に近い海水浴場で、教育局の皆さんで私の歓迎会をしていただきました。職場からは車で15分ほどのところにあるネッチポイントと呼ばれるこの場所は、週末には多くの人々が訪れ、バーベキューや海水浴を楽しみ、木陰でのんびりして過ごしています。

 12時に午前中の勤務を終え、娘の幼稚園のお迎えをしてからいったん家に帰り、着替えをしてからだったので、歓迎会開始予定時刻の12時を大幅に過ぎ、大急ぎで約束の場所に向かいました。しかし現地に着いてみると、その場にいたのは私たち家族のみで、「金曜日の昼12時」を聞き間違えるほど、私のリスニング力はひどくないと思っていた自信が少し揺らぎましたが、その後ちらほらと人々が集まり始め14時ぐらいには食事を始めることができました。

 

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バーベキューのようす

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パンの実や刺身など現地の料理もたくさんありました。

 家族で参加している職員が多く、食事のあとは夕方まで海水浴をしながらゆっくり過ごすことができました。

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子供たちで海水浴

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家族3人で

 ミクロネシアの人々は明るくおおらかで、いつも大声で笑っています。現地語のポンペイ語での会話にはほとんどついていけませんが、笑い声を聞いているだけで我々もうれしくなりました。